リハビリ分野から見た住宅改修のポイント

住宅改修をするとき一番重要なことは、本人の身体機能や精神状況などを十分に把握することです。そうすることで利用者の状態に適応した住宅改修が可能となります。しかし、それも永久に適応するものではありません。身体の状況などは加齢や疾病の罹患により変化します。本人や介護者の生活を維持するために、ある程度、将来を見通した計画も必要となります。

疾病の特性と住宅改修のポイント

  脳卒中 脊髄損傷












その原因は、脳の血管が詰まって血液が流れなくなったり(脳梗塞)、脳の血管が裂けて出血したり(脳出血)して、脳の組織が傷害されることによります。発症により様々な神経症状が出現しますが、主なものに意識障害、運動障害(半身の麻痺、起立・歩行障害など)、感覚障害、言語障害(失語症、構音障害など)、視野障害、記憶障害、感情の障害、思考能力の障害があります。 受傷原因には交通事故、高所転落、転倒、スポーツなどがあり、頚・胸・腰髄が損傷することにより運動麻痺(四肢麻痺、対麻痺、呼吸障害)、感覚障害(表在・深部感覚障害、温・冷・痛覚障害、異常感覚)などの神経障害が出現します。障害の程度は、完全か不完全か、また損傷部位(前・後・側部・中心、高位)によって様々です。






  • 敷居などの段差解消。全介助の場合スロープ、昇降機などを利用すると良い
  • 腰掛を設置すると靴の着脱がしやすい
  • 手すりの設置
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 敷居などの段差解消。スロープ (1/12~1/15 のスロープ、昇降できることを確認する)、昇降機などの活用
  • 扉と取っ手の位置の工夫
  • 車庫のスペース(乗降するドアをいっぱい開けられるスペースが必要)の確保、扉、シャッター、床に配慮する







  • 敷居などの段差解消
  • 手すりの設置
  • 床材の転倒しにくい工夫(引っかかり除去)
  • 車椅子使用の場合は通れる幅を確保
  • 階段昇降が必要な場合は昇降機やエレベーターの設置
  • 足元灯の利用
  • 敷居などの段差解消
  • 車椅子使用の場合、通れる幅と回転できるスペースを確保する
  • フローリングやクッションフロアーは車椅子操作が軽い


  • 手すりの設置
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 動きやすいスペースの確保
  • 引き戸が利用しやすい
  • フローリングやクッションフロアーは車椅子操作が軽い
便

  • 敷居などの段差解消
  • 扱いやすいノブや取っ手の工夫
  • カーテン扉などの利用
  • 車椅子使用の場合は通れる幅を確保
  • 洋式便器、ウォシュレットが使いやすい
  • 入り口は車椅子の幅プラス200mmが望ましい(プラス100mmでも通行可)
  • トイレ内で回転できることが望ましい
  • 床高は廊下と同じ高にする
  • 必要に応じ手すりの設置


  • 敷居や洗い場などの段差解消
  • 扱いやすいノブや取っ手の工夫
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 浴槽の高さ350~400mm、深さ550mm程度
  • シャワー椅子の利用
  • 水栓、シャワーの位置の工夫
     (座った位置で使用できるのが望ましい)
  • 本人、介護者の動きやすいスペースの確保
  • 洗う姿勢と場所および浴槽への移乗方法から必要な広さを検討する
  • 洗う場所と浴槽の向き、移乗方法により浴槽の高さ、洗い台の高さを検討する
  • お湯を張ったり、浴槽の掃除のため、浴槽内まで車椅子で入れることが望ましい

 また、介護者の立場にたった計画をたてることも重要で、介護しやすい環境をつくることで、無理なく長く自宅で生活することが可能となります。また、介護中心か、リハビリの視点に立つかで住宅改修の内容が変わる場合があります。利用者の機能や能力の維持に努めることで、介護予防につながります。

  関節リウマチ 進行性筋ジストロフィー












慢性的に全身に及ぶ炎症が関節を侵し、全身の筋力を低下させ、下肢の関節の障害は移動能力の低下を、上肢ではリーチの低下、手指変形からくる巧緻性の低下(物を把持・操作する能力の低下)を引き起こします。 遺伝性筋疾患であり、臨床症状、遺伝形式、予後などが異なるいくつかの病型があります。デュシェンヌ型、ベッカーー型、肢帯型、顔面肩甲上腕型などがあり、特にデュシェンヌ型は予後が不良で、筋力低下、筋萎縮が進行します。






  • 敷居などの段差解消。全介助の場合スロープ、昇降機などを利用すると良い
  • 腰掛を設置すると靴の着脱がしやすい
  • 変形した手にあった手すりの形状の工夫
  • 開閉しやすいドアとドアノブの工夫
    (自動ドアも考慮)
  • 敷居などの段差解消。スロープ(1/12~1/15 のスロープ、昇降できることを確認する)、昇降機などの活用
  • 扉と取っ手の位置の工夫







  • 1階での生活を基本とし、階段昇降は避ける
  • 敷居などの段差解消
  • 床材の転倒しにくい工夫(引っかかり除去、毛足の長い絨毯は転倒しやすい)
  • 足元灯の利用

 

  • 敷居などの段差解消
  • 車椅子使用の場合、通れる幅と回転できるスペースを確保する
  • フローリングやクッションフロアーは車椅子操作が軽い
  • 全介助の場合リフター設置を考慮する

 



  • 椅子、テーブルをいれ洋式化する。高さやクッションの材質(柔らか過ぎないもの)を検討し立ち上がりやすくする
  • リモコンなどものがとりやすい配置を考える
  • 引き戸が利用しやすい
  • フローリングやクッションフロアーは車椅子操作が軽い
便

  • 基本的に洋式便器が良い
  • 座面が低い場合は補高便座の使用か脚部のかさあげをする
  • トイレットペーパー、水洗レバーの位置や形状を検討する
  • 操作リモコンの使いやすさを考慮する
  • カーテンなどの利用
  • 入り口は車椅子の幅プラス200mmが望ましい。(プラス100mmでも通行可)
  • トイレ内で回転できることが望ましい
  • 床高は廊下と同じ高さにする
  • 必要に応じ手すりの設置


  • 敷居や洗い場などの段差解消
  • 扱いやすいノブや取っ手の工夫
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 水栓、シャワーの位置の工夫(座った位置で使用できるのが望ましい)、持ち手の形状の検討
  • 洗う姿勢と場所および浴槽への移乗方法から必要な広さを検討する
  • 洗う場所と浴槽の向き、移乗方法により浴槽の高さ、洗い台の高さを検討する
  • お湯を張ったり、浴槽の掃除のため、浴槽内まで車椅子で入れることが望ましい
  脳性麻痺 高 齢












出産前後期に脳が損傷し、中枢性運動麻痺をきたした状態の総称で、痙性、強剛、アテトーゼなど、異常な筋緊張や病的な運動パターンによる多彩な運動障害が出現します。病態は非進行性ですが、成長、老化に伴う痙性などの分布の変化や、変形、拘縮、痛みにより機能障害が助長されることがあります。 加齢により、関節や骨の萎縮,硬直,屈曲、筋力の低下、運動神経の低下などの身体機能の変化、短期記憶力の低下、代謝機能の低下、肺活量の減少などの生理機能の低下、平衡感覚の低下、視力・色覚の低下聴力の低下などの感覚機能の低下、認知力の低下、短期記憶力の低下、知能の低下などの中枢神経の低下などが出現します。






  • ●敷居などの段差解消。全介助の場合スロープ、昇降機などを利用すると良い
  • 玄関に腰掛を設置すると靴の着脱がしやすい
  • 手すりの設置
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 敷居などの段差解消。全介助の場合スロープ、昇降機などを利用すると良い
  • 腰掛を設置すると靴の着脱がしやすい
  • 手すりの設置
  • 滑りにくい床材の配慮







  • 敷居などの段差解消
  • 手すりの設置
  • 床材の転倒しにくい工夫(引っかかり除去)
  • 車椅子使用の場合は通れる幅を確保
  • 階段昇降が必要な場合は昇降機やエレベーターの設置
  • 足元灯の利用
  • 敷居などの段差解消
  • 手すりの設置
  • 床材の転倒しにくい工夫(引っかかり除去)
  • 転倒してもけがのないように床、壁の素材の検討、家具などの角を保護する
  • 足元灯の利用


  • 手すりの設置
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 動きやすいスペースの確保
  • 精神的に落ち着く物の配置・配色を考慮する
  • 手すりの設置
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 動きやすいスペースの確保
便

  • 敷居などの段差解消
  • 扱いやすいノブや取っ手の工夫
  • カーテン扉などの利用
  • 車椅子使用の場合は通れる幅を確保
  • 洋式便器、ウォシュレットが使いやすい
  • 敷居などの段差解消
  • 車椅子使用の場合は通れる幅を確保
  • 介助しやすいスペースを確保
  • 洋式便器、ウォシュレットが使いやすい場所、扉、スイッチ等、認識しやすいように工夫


  • 敷居や洗い場などの段差解消
  • 扱いやすいノブや取っ手の工夫
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 浴槽の高さ350~400mm、深さ550mm程度
  • シャワー椅子の利用
  • 水栓、シャワーの位置の工夫
    (座った位置で使用できるのが望ましい)
  • 本人、介護者の動きやすいスペースの確保
  • 全介助の場合リフターの設置を考慮する
  • 敷居や洗い場などの段差解消
  • 扱いやすいノブや取っ手の工夫
  • 滑りにくい床材の配慮
  • 浴槽の高さ350~400mm、深さ550mm程度
  • シャワー椅子の利用
  • 水栓、シャワーの位置の工夫(座った位置で使用でき るのが望ましい)
  • 本人、介護者の動きやすいスペースの確保
  • 全介助の場合リフターの設置を考慮する

本人の身身機能の捉え方

玄関

  • 段差が高い場合が多いので、立位のバランスが安定しているか、片足立ちが可能か、段差を乗り越えられる筋力があるかを確認する。
  • 立位での靴の着脱時は危険な場合が多いので注意する。椅子を利用する場合は立ち座りが安全にできるか確認する。
  • 車椅子を自走する場合は、その能力に合わせた方法にする。
  • 手すりが必要な場合は、手すりを押したり、引いたりできるか、把持機能(筋力が十分か、変形の状態など)があるかなど、肩から手指の機能を確認する。
  • 扉の操作方法、手すりの位置や安全な使い方、段差の認知や安全な乗り越え方など、精神面の確認をする。
  • リハビリを兼ねる場合は、多少努力する程度の住宅改修とし、安全を基本に考えるとよい。

トイレ

  • ズボンの着脱時は立位の安定性と上肢の協調した動作が必要となるため、能力が十分か確認する。
  • 独歩の場合は段差を乗り越えられる筋力やバランス能力があるかを確認する。
  • 便器に移乗する場合、方向転換が必要であるため、立位バランスや方向転換時のふらつきなどがないか確認する。特にパーキンソン病・症候群で注意する。
  • 手すりが必要な場合は、手すりを押したり、引いたりできるか、把持機能(筋力が十分か、変形の状態など)があるかなど、肩から手指の機能を確認する。
  • 扉の操作方法、手すりの位置や安全な使い方、段差の認知や安全な乗り越え方など、精神面の確認をする。
  • リハビリを兼ねる場合は、多少努力する程度の住宅改修とし、安全を基本に考えるとよい。

浴室

  • ズボンの着脱時は立位の安定性と上肢の協調した動作が必要となるため、能力が十分か確認する。
  • 独歩の場合は段差や浴槽を乗り越えられる筋力やバランス能力があるかを確認する。
  • 浴槽に移乗する場合、方向転換が必要であるため、立位バランスや方向転換時のふらつきなどがないか確認する。また、障害によって適切な移乗の方法があるので、それを考慮した住宅改修をする。
  • 手すりが必要な場合は、手すりを押したり、引いたりできるか、把持機能(筋力が十分か、変形の状態など)があるかなど、肩から手指の機能を確認する。
  • 扉の操作方法、手すりの位置や安全な使い方、段差や浴槽の認知や安全な乗り越え方など、精神面の確認をする。
  • 浴室での転倒はかなり危険なので、安全にできる動作のみを利用者に行ってもらい、リハビリは兼ねないほうがよい。

住環境・経済性のとらえ方

玄関 トイレ 浴室
  • ■ 買い物や集会などに出かけることは生きがいづくりや精神的な安定につながるため、アプローチなども配慮する。
  • 機能や介護力に適合した住宅改修や福祉用具の貸与などが必要で、高価なものがよいとは限らない。
  • 段差解消のための足台や、椅子など、量販している道具の利用は安価な場合がある(安全性を確認)。
  • もともと設置してある下駄箱や柱などが使用できないかを考慮する。
  • 他の部屋との温度差をなくし、筋肉や関節のこわばりを最小限にすることで動作の安全性を高める。
  • プライバシーの保護に努める。
  • 清潔に保てるようにしたり、快適な空間にすることで、生理機能を助ける。
  • 他の部屋との温度差をなくし、筋肉や関節のこわばりを最小限にすることで動作の安全性を高める。

 家族介護のとらえ方

  • 介護者の年齢や身体、認知機能を考慮し、介護能力の有無を確認する。
  • 安全な使用方法について、介護者もよく理解していることを確認する。
  • 介護者の負担が少ない住宅改修に努める。

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