建築分野からみた住宅改修のポイント

  • 高齢者の方は家族の経済的負担(改修費用)を気にします。本人にとって最適な方法を提案しても、費用を気にして最小限を希望します。事前に家族の方と相談し、家族の方から費用を気にしなくてもよい旨を伝えていただくようにしましょう。そして、同居人の深い理解により、個々のプライバシーを少し抑えてでも機能的に改修することが、介護者にとっての負担減にもつながります。
  • 工事費の目安(改修希望予算)を考慮しながら、その場にて工夫・材料の選択をしなければなりません。したがって、簡単な工事費の目安がたつ、コストの知識は必要です。
  • 障害者の全ての動きをスローモーションのように分析し、できるだけ本人に立ち合っていただき、改修が必要な場所と物品を選択します。詳細な取り付け寸法は、リハビリの専門家と検討しましょう。また、改修方法や取り付け下地等は、建築士か工事業者に聞くとよいでしょう。

段差解消

  • 最も簡単な方法は、すりつけ板です。また、低い床全体に下地ベニア等と仕上げ材を張る事は最良な方法であり、費用も思ったほど高くありません。

改造する場合-1
最も手軽に行うことができる改造としては、敷居の高さに合わせた三角形の木片を洋室側の床面に取り付けて、すりつける方法がある。木片を取り付けるだけなので手間がかからず、どこにでも用いることができます。
改造する場合-1

改造する場合-2
和室の敷居の高さまで、低い方の洋室の床をかさ上げします。既存の床面をそのまま利用して新しい床面を貼る方法で、和室に囲まれた廊下などに適した方法です。
改造する場合-2

浴室段差
和洋折衷浴槽の場合は、洗い場と浴槽内の床高さの差は100m/m程度です。洗い場と洗面所を同じ高さにするため、スノコ等により床を上げた時、前記高さの差は大きくなり、またぐ時の危険が増すので注意を要します。(手すり取付や、浴槽内に敷台取付を考えましょう)
浴室段差

玄関の段差

  • 玄関と廊下の段差は180m/m以下が望ましいです。踏み台によって段差を少なくします。尚踏み台は安定を考え幅500m/m以上奥行き400m/m以上のものを使用しましょう。
  • ベンチは靴を履き替えるものと、上り框段差を移動する時に座って行うものとがあるので使い分けましょう。
  • 下駄箱や家具があり手すり取付に邪魔な時は、手すりを優先して考え、下駄箱の手前にスタンド型手すりを設けることも考えましょう。
  • スロープは1/12から1/15の勾配が必要であり、場所と費用が必要です。
    段差解消機の設置は、便利な場合があります。

手すり取付け

  • 下地の有無は建築士か工事業者に確認してもらいましょう。
  • 取付け高さや位置の詳細寸法は、リハビリの専門家に検討してもらいましょう。
  • 縦横手すりの太さ、長さ、機能をよく理解しましょう。

手すり取付ポイント

1) 壁内の柱に取付
2) 壁内の間柱には取付けないこと

在来工法の場合、間柱への手すり受け金具の設置を安易に考えがちですが、間柱自体に手すり金具を取付けることは避けるべきです。手すり受け金具は3本の木ネジで壁面に留める場合が多いが、間柱の幅(35~40mm程度)では2本のネジしか留められず、十分な支持が得られないからです。
壁内の柱に取付、壁内の間柱には取付ないこと

3) 壁内へ木下地を取付
既存の壁に一部補強を行う例です。壁をくり抜くので、大工工事・クロス貼り工事の手間がかかりますが、仕上げはきれいです。
壁内へ木下地を取付

4) 壁外へ木下地を取付
既存の壁はそのままにして、その上に板(手すり受け材)を取り付ける例です。
壁外へ木下地を取付

プラスターボード
石膏を1cmの板状に固めたもので、表面に紙が貼ってあり、そのまま壁や天井の下地材として用います。耐火のものがあります。<同義語=石膏ボード、略語=PB>

5) 浴室の下地がコンクリートブロックの場合は、ホールインアンカー等で止める。
下地が木とモルタルの場合は、丈夫な木下地がない場合があるので、丈夫かどうか確認をします。
浴室の下地がコンクリートブロックの場合は、ホールインアンカー等で止める。

  • ステンレスネジを用い、柱まで十分に届く長さのものを用います。
  • タイルと手すり、受け金具の隙間はシール材で埋めます。

6) 注意

  1. 補強範囲は将来の体が変化していくことを考慮して広く大きく取り付けます。
  2. 受け金具は手すりを横から受けるのではなく、下から受けるものを使います。
  3. 手すり端部は、壁方向もしくは下方向に曲げ込みます。
  4. つかまる動作は28Φ~32Φを基準とし、トイレ浴室でよく使われます。移動時に支える動作は 32Φ~36Φを基準とし、廊下・階段でよく使われます。
  5. 材質は触って冷たいステンレスは避け、木製や樹脂コーティングのものを使うとよいでしょう。
  6. 高さは750mm~800mmを基準とするが、大腿骨の大転子部の高さを原則ですが、本人が確認することが最もよいです。

引き戸へ

  • 壁中へ引き込む引き戸は手間がかかりますが、納まりを気にせずに外付け引き戸とすると手間が少なく、費用も少ないです。
  • 引き込むスペースが少ない場合は、折れ戸か外開き戸(レバーハンドル)とします。
  • 引き手は、埋め込みではなく、持ち手タイプとして肘でも開けられるようにします。

引き戸

  • フラットレール戸は埋め込みVレールの埋め込み部(図-1)に注意する必要があり、又、床の上へ置くステンレス製(図-2)のものとがあります。又、図-2のように既存壁開口の外へ敷居レールと鴨居を取り付けると簡単に施工できます。
    引き戸

ハンガー式吊戸

  • 鴨居にレール車を埋め込むタイプは軽く動かせるが、戸車式に比べコストは少し高くなります。また、自動で閉まるおもり式のコストは高くありません。
    ハンガー式吊戸

壁撤去

壁撤去

  • 部屋を広くしたり出入り口を変更する時の壁撤去方法です。
  • 壁の中に筋カイ(左図)が無い場合は簡単に壁を撤去してよいが、筋カイが入っている場合は壁を撤去しないでください。ただし、どうしても壁を撤去するときは建築士に相談し構造的に検討してもらいましょう。

見積り内容

1) 材料定価(少しの割引き有り)+2) 大工手間(一般的に大工さんの一日の日当×人工数)+3) 工事監理費・手続き・事務経費=合計金額

  • 工事業者からの見積書で一式工事として記入してあり明細が記載されていない場合は、後でトラブルとなりやすいです。何処のメーカー(カタログ確認)のどの品番かまでを見積り備考欄に記入してもらいましょう。
  • 2社以上の見積をとった方がよいでしょう。また設計事務所にチェックしてもらうとよいでしょう。

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